「沖縄密約情報開示訴訟」東京高裁の控訴審判決が29日に出ました。
判決主旨は「情報公開法施行前に、文書は秘密裏に廃棄され、外務・財務両省の保管から外した可能性が否定できない。」「不開示決定時点でも、保有していたとは推認できない。」
早い話が密約はあったが、廃棄されて今は無いので公開できないというお粗末なものです。
1971年当時、毎日新聞・西山太吉記者が、沖縄返還協定に絡む400万ドルの軍用地の原状回復費用を、日本側が米国に肩代わりして支払うという密約をスクープ。資料を外務省の女性事務官から入手したことから、「外務省機密漏洩事件」として逮捕され、1審では取材手法は批判されながらも、取材目的は正当と無罪判決。
2審では逆転有罪となり、事件の本筋である「表現の自由」「知る権利」ではなく、取材方法のモラルを欠いたという視点で最高裁の有罪が確定します。
私が全4巻を読み終わった頃、米国立公文書館から密約の資料が見つかり、一貫して密約を否定してきた自民党政権から交代した、民主党新政権の岡田外相が設置した外務省調査チームから、「当初3億ドルと想定したが、米国から原状回復費400万ドル、VOA中継基地移転経費1600万ドルの積み増しを求めてきた模様」という報告書が発表されたのです。
昨年4月の「沖縄密約情報開示訴訟」第1審東京地裁では、密約に関与した吉野文六・元外務省アメリカ局長の法廷証言があり、テレビのニュースを見ながら、歴史が動き出したという逸る気持ちになりました。
今春、原告側は澤地久枝さんを代表に調査チームを作り、「市民による沖縄密約調査報告書」を提出しており、私は今回の判決を期待して見守っていたのですが、結果は逆転敗訴。非常に残念です。
それにしても西山記者80才、澤地久枝さん82才と何と高齢者が頑張っていることでしょう。
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